ローガンお裁縫教室

自分好みの布小物制作や古着のリメイクをしてみたい。老眼ですけど。

井川メンパ

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山桜の樹皮で留めた檜の曲げ物に幾重も漆を塗って仕上げたお弁当箱。デザインより実用性を重んじ、長い年月の使用に耐え得る堅牢さを追求した構造がむしろ美しさを醸し出しているのです。

これぞ静岡県が全国のお弁当愛好家に誇る『井川メンパ』

その歴史は非常に古く、基本となる曲げ物は鎌倉時代の静岡市井川区あたりで誕生したとされており、その後、金採掘や森林開発が活発となる江戸時代頃から現在のような漆塗の製法に変化して行くのですが、ついには井川の山村農民に欠かせない生活用具の位置付けのみならず、近隣地域に販売することで収益をあげる貴重な副業生産物として農民を支えるに至ったと伝えられています。

そんな井川メンパ最大の特長は、適度な吸湿性と保湿力が冷めてしまったご飯も美味しい状態を長時間保ち、天然漆の抗菌効果で夏場も中身が腐りにくいこと。また、その頑丈かつ高い防水性は、水を満たしたメンパに焼けた石をブチ込んで調理するという荒業でもビクともしないのだとか。

大中小の三点セット

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井川メンパは大きさによって、大きいものを男持ち、中を女持ち、小を菜メンパと呼び分けます。元来山林作業において携行する道具ですから、基本は自分に合わせたサイズを一つだけ選ぶことになるのですが、私みたいな道具先行型の人間にとってはコンプリートするのが非常に重要となりますので 当然の如く大中小が三つとも揃う事態に陥いる訳です。

きっと、意味もなく重ねてはニヤニヤさせる仕様なのでしょう。

まんまと策略にハメられてしまいました。

 

卓上のおひつ代わりに

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そう言えば、当初井川メンパに興味を持ったきっかけは、もしかしたらソロキャンプ用のおひつとして使えるかも?という理由からでした。

本来ならその都度炊くのがキャンプの醍醐味でしょうけど、もし本当に冷めてもおいしいご飯を楽しめるのならば、敢えてワザと冷やした冷飯レシピ作りにチャレンジしてみたいなどとも思ったり。それ以外では、ベースサイトでこしらえた冒険弁当を携えて、ちょっと離れた場所まで散策に出かける、ってのも悪くありませんよね。

 後世に伝えるべき井川メンパ

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まさに良いこと尽くめの素敵アイテムですが、発祥の地である井川地区でただ一人の職人だった方が最近お亡くなりになり、現在は静岡市の街中にお一人、静岡県の山間部にもう一人技術伝承者が製作されているに過ぎません。こういった現実に希少性を感じざるを得ない心理が人々の購買意欲を煽るのか、現時点では注文しても半年待ちは当たり前という入手困難な状況となってしまいました。

そんな山間の辺境地で人知れず育まれてきた井川メンパ。漆独特の光沢が放つ美しさ、そして古い歴史と伝統に培われた風格が再び注目を集め、後世に伝えるべき逸品として年々人気が高まりつつあるようです。