ローガンお裁縫教室

自分好みの布小物制作や古着のリメイクをしてみたい。老眼ですけど。

裁ち鋏【紙を切ってはならない理由とは?】

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"裁ち鋏" とは、布地の裁断に用いられる "はさみ" の一種。

ここで強調したいのは、布地に向いてますよ?的な意味ではなく、布地専用だという事。それ以外の物を切ったならば、たちまち切れ味が落ちてしまいます。重厚な外見からは何でもジャキジャキ切れそうな印象を受けますが、実はとてもデリケートな鋏なのです。

あ、決して他の物が切れない訳ではありませんよ? むしろ、良く切れます。

例えば、段ボールなんて普通の鋏だと大変ですが、これならば楽勝です。私も幼い頃、絶対に紙を切ってはならないという親の言いつけなど何処吹く風で、くだらない工作をしでかす時は問答無用に母の裁縫箱から取り出していました。

当然、あっという間に切れなくなって、押入れの奥から見つけ出された力作と共にこっぴどく叱られるハメになるのですが。

でも、なんで紙を切ったくらいで切れ味が落ちるのでしょうか?

そもそも、鋏が紙に負けるとなれば、ジャンケンの定義が覆ってしまう由々しき事態。

何だか大変なことになってきましたよ。

 

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ちなみに、鋏がモノを切る原理って?

刃物には、大別すると二つの考え方があると思うのです。

一つは、切れ味よりも刃の丈夫さを優先したもの。(例)鉈、斧、ニッパー

もう一方はその逆で、切れてナンボの世界。(例)日本刀、包丁、剃刀

鋏って、たぶん前者。それは、切れ方を考えると明らかなのです、が。

その原理とは次の通り・・・

二枚の刃がすり合わさった交点で挟み込んだ物質に対し、刃と刃で互いに逆方向へずらすような荷重をかけていくのですが、このとき物質には引きちぎられる力(剪断応力)が発生するので、その部分がプッツリと切断される・・・という仕組み。

その際、刃同士がすり合わさる摩擦と物質をずらす時の荷重に耐える性能が大切なのは御想像の通り。すなわち、切れ味よりも丈夫さの方が優先されるって事ですね。

でもこれは、ある程度の硬さというか、コシのある物質を想定しているからこその話。

軟らかいものだと、こんな風にうまくコトは運びません。

 

 

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裁ち鋏は、そもそもの考え方が違う

紙って、ぶっちゃけ硬い物質です。簡単に丸められるし、いとも容易くビリビリ破れるので意外かもしれませんが、元々は木の繊維ですからね。物質的には薄い合成木材だと思って差し支えないと思います。だから、鋏でジョキジョキ切れるんですよ。

一方、布は軟らかくコシがないし、挙句の果てには伸び縮みまでする。ですから、普通の鋏では刃と刃でずらすことが出来ず、クニャって感じで刃と刃の間に入り込むことがありますよね? 要するに、切れにくい。

だったらどうするか・・・

答えは簡単! 刃の切れ味で勝負すれば良いのです。

二枚の刃で物質をずらすのではなく、刃先を物質に食い込ませていくことで破断するという全く異なる考え方。であるからにして、裁ち鋏にはグイグイと物質を点で押しつぶしていく鋭い刃、つまり普通の鋏では及びもつかない遥かに研ぎ澄まされた刃が付けられている、のでした。

ふーむ、両者は別物、だったのですね。

 

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裁ち鋏は繊細な刃物

この切れ味は、鋏の中では異質の存在。

今回のお話で、裁ち鋏はとても鋭利な刃物であることはお分かりになられたと思います。

それは、布という軟らかくて伸び縮みする物質を切るために特化された専門の性能。

硬くてコシのある物質を切ることは、最初から想定していないのです。

故に、物理的な観点から硬いとされる紙など切るのは以ての外。

そんな事をすれば、繊細な刃先は見る見る丸くなってしまいます。

しかし、これからの人生、どうしても切らざる得ない場面に遭遇しないとは言い難い。

そんな時は、とあるブロガー様の決めゼリフをお借りするするしかないでしょう。

www.mamamaccori.com

・・・と。

 

※勝手にリンクしちゃってゴメンナサイ。私、大ファンなんです!